鍼灸漢方治療について
当院では、西洋医学と東洋医学の利点を融合した中医学をご提案しています。
西洋医学は診断に基づく直接的な治療を行う一方で、中医学は症状の原因を体のバランスの乱れと捉え、その調整によって治療します。これらを組み合わせることで、より優しく幅広い治療が可能になります。
鍼・温灸療法・漢方外来担当獣医師
三浦 千世先生
- 2008年3月
- 日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業
- 2024年12月
- 国際中獣医学院日本校認定中医漢方獣医師
- 2024年9月~
- 国際中獣医学院日本校 中獣医鍼灸師講座受講
鍼治療について
鍼治療は、4000年もの歴史をもつ中医学の治療法の1つです。鍼で体表のツボ(経穴)を刺激することにより、苦痛や痛みを和らげたり、体が本来もっている状態を一定に保ち続ける状態(ホメオスタシス)を回復させることにより病気を治療・予防します。
鍼治療により期待できる効能
- 自律神経の調節
- 体質改善(アトピー、慢性疾患など)
- 痛みや苦しさの緩和 など
鍼治療の対象
- 運動器疾患(関節炎、変形性関節症など)
- 神経疾患(椎間板ヘルニア、神経痛、神経麻痺など)
- 泌尿器疾患(膀胱炎など)
- 痛みの症状全般
- 老齢動物へのケア(痛み、免疫力向上) など
上記以外でも効果が期待できることがあります。
また、逆に上記に該当していても鍼治療の対象とならない場合もあります。まずは、担当医までご相談ください。
温灸療法について
もぐさを圧縮して棒状にしたお灸を使用します。
灸に使用するもぐさは、キク科の多年草であるよもぎが原材料です。よもぎの葉にはシネオール、アルファーツヨン、セスキテルペンという精油成分が含まれており、免疫刺激・鎮痛作用・抗炎症作用などがあると考えられています。
専用のホルダーを使用し、患部・経穴に温熱刺激を加える療法です。
当院では100%国産品や煙の少ないものなどいくつかの種類のお灸をご用意しております。
温灸療法により期待できる効能
- 疲労回復
- 血行改善
- 筋肉の疲労、こりをほぐす
- 神経痛、筋肉痛の痛みの緩和
- 胃腸の動きをよくする など
温灸療法の対象
- 運動器疾患(関節炎、変形性関節症など)
- 神経疾患(椎間板ヘルニア、神経痛、神経麻痺など)
- 痛みの症状全般
- シニア
- 鍼治療の補助 など
上記以外でも効果が期待できることがあります。
また、逆に上記に該当していても温灸治療の対象とならない場合もあります。まずは、担当医までご相談ください。
漢方オイルについて
漢方オイルとは中医学の観点から開発された漢方薬草を含む「塗る漢方薬」です。オイルの香りのよる芳香作用と塗った部位から有効成分が浸透することにより効果を発揮します。お薬嫌いな子に特にお勧めです。
漢方オイル使用により期待できる効能
漢方オイルには様々な種類があり、組み合わせを変えることにより異なる効能を発揮します。主には、養生を目的とするもの・不調の改善を期待するもの・メンタル面の不調の改善を期待するものがあります。
漢方オイルの対象
- イライラ、分離不安などの精神不安定
- 痛み
- シニア(免疫力低下・痛み)
- 慢性疾患 など
上記以外でも効果が期待できることがあります。
また、逆に上記に該当していても漢方オイルの対象とならない場合もあります。まずは、担当医までご相談ください。
鍼灸・漢方外来受診の流れ
当院にカルテのない方はカルテを作成させていただきます。
よくある質問
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予約は必要ですか?
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ネット予約(鍼灸漢方外来枠)またはお電話でご予約をお願いいたします。
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お灸は熱いですか?
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当院で使用してるお灸は、温灸のためじんわり温まる程度の温度で実施しています。そのほか、小豆カイロを用いた温熱療法も行っています。
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鍼は痛いですか?
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鍼治療に使用する鍼は、用途にもよりますが太さが約0.2mm前後のものを使用することが多いです。そのため、ほとんどのワンちゃん・ネコちゃんは痛みを感じにくいかと思います。
また、リラックスした状態で治療を受けていただきたいので、緊張感を和らげる漢方オイルを事前に使用することもございます。
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漢方薬は飲んでくれますか?
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投薬用のおやつなどに混ぜると比較的飲んでくれます。投薬が難しい場合は漢方オイル(塗るタイプ)を使用する場合もあります。
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飼い主と一緒の状態で、鍼灸の施術はできますか?
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はい。可能です。動物たちも飼い主様とご一緒の方がよりリラックスしていることが多いのでおすすめしています。お時間の都合や、施術をご覧になるのが苦手な場合はお預かりして施術を行いますのでお気軽にご相談ください。
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施術ができない場合はありますか?
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腫瘍性の疾患、出血傾向のある疾患、感染症、発熱、重度の衰弱、妊娠中、極度の緊張状態にある場合などは施術を行わないことがあります。西洋医学的な検査・診断も行い、その上で方針の決定を行い中医学的なアプローチを行います。
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時間はどのくらいかかりますか?
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初診の場合や初めての症状の場合は、動物さんたちの身体をじっくりと診させて頂くと共に飼い主様からもしっかりとお話を聞かせていただくため、施術を含めて1時間程度のお時間を頂いています。継続的な施術の場合は30分程度のお時間を頂いております。
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効果はどうでしょうか?
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西洋医学的な治療法とは異なり、即効性のあるものは多くはありませんが、効果を実感して継続して治療を受けていただいているケースが多いです。
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どんな子におすすめでしょうか?
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慢性の運動器疾患などの疼痛コントロール、胃腸炎、下痢などの消化器症状、咳のコントロール、皮膚疾患などでお悩みの場合におススメしています。このほかにも精神不安、ストレスに弱いなどのメンタル面の症状にも対応させていただいています。